どうも、ながです。
先日友人と東京都の都心とも郊外とも呼べない、ほどよく緑が残っている地域で散策していた時のこと。
夕方、そろそろ友人の住んでいるマンションまで戻ろうかというタイミングで、遠くから「キーキー」といった甲高い声が聞こえてきました。
聞き覚えがある声でした。ワカケホンセイインコだ!(外来種)と思い、友人と見に行ってみることに。
場所はよくある普通の公園。開けたところには遊具があり、敷地内の各所に木が植えられているようなごく普通の公園です。
そこでは去年にもワカケホンセイインコを見かけていたので、その公園周辺に生息している事は覚えていたのですが、想像していたよりはるかに大きな群れが生息していました。
そこで、外来種であるワカケホンセイインコ、それらに対する報道があった事などなどが気になって自分なりに調べ、ペットや外来種、在来種問わず「動物との共生」について考えてみました。
あくまで個人の考えではありますが、参考にしていただければ幸いです。
ワカケホンセイインコの野生化から考える。生き物と人との共生や在り方。
ワカケホンセイインコとは?
まずは前述した「ワカケホンセイインコ」とはどういう鳥なのかを簡単に説明させていただければと思います。
関東に住んでいる方なら、実際に見たことがあるかもしれません。
ワカケホンセイインコの特徴
このワカケホンセイインコですが、ひと目でわかるような明確な特徴があります。
それはズバリ、日本の生き物らしくない鮮やかなグリーンの身体。発色の良い赤いクチバシが一番の特徴です。
尾羽の長さも特徴で、体長は約40cm。オナガが約37cmと言われているので、オナガとほぼ同じか、それよりも少しだけ大きいくらいです。
鳴き声も特徴的で、「キーキー」や「キャラキャラ」と聞きなされるような甲高い声で鳴きます。
数羽から数十羽で行動し、夕方には大きな群れでねぐら入りする事で知られています。
先日出会った時も、ねぐら入りしようとしていた群れでした。100羽はいなかったと思いますが、数十羽という大きな群れには少し驚きました。
原産地と本来の生息地
原産地はインドやスリランカで、本来は低地の半砂漠や森林などで暮らしていた鳥のようですが、環境適応力が高く、都市部でも増加しているそうです。
実際に日本で定着したワカケホンセイインコも、餌が豊富で、適度に開けている東京や埼玉に多く分布が認められています。
そして、インコは種子食(一部雑食性でもある)のため、冬になると餌になる種子や木の実がグンと減ります。そのため、種子や木の実が取れない深い山の中では生き延びる事ができず、人が立ち入るような公園や都市部での方が餌が取れるため、都市部での生息が確認されるようになったという経緯があるそうです。
たとえばスズメでも、精米機の前で待機して人間が精米したあとのおこぼれを狙ってる事がありますよね?
そんな感じで、人間が介入する事によって生まれる餌。それが豊富なのは山より都市部ですから、都市での生活に適応した。という経緯があるようです。賢いですね。
ペットとしても人気だった?
ワカケホンセイインコはとても賢く、「言葉を覚える」と言われています。
野生のワカケホンセイインコは強い鳴き声のイメージがありますが、ペットとして飼われている子はとても可愛らしい鳴き声で鳴きます。
見た目も鮮やかなグリーンで、身体の大きさも飼うには程よいサイズ感。
1960年代以降のペットブームにより、癒しを求めた人々から求められるようになるのも納得の愛らしさです。
飼いたいと思う方もきっと少なくないはず。もし飼うのなら鳴き声の大きさには注意してくださいね。なかなか大きな声で鳴きますので。
日本で野生化した背景
インドやスリランカから持ち込まれたワカケホンセイインコ。
なぜ日本で野生化、そして定着してしまったのでしょう?
ここからは野生化した背景を深堀りしていきましょう。
輸入ペットの飼育放棄や脱走
日本で見られる外来種と呼ばれる動物が定着してしまった理由としては、ペットとして飼いきれなくなってしまい、外へ放してしまったというケース、貿易船やコンテナなどに入っていて、日本に侵入してしまったケースなどがあります。
しかし、ワカケホンセイインコの場合は1969年に、100~200羽のワカケホンセイインコを入れていた輸送用コンテナが破損する事故が起き、そのコンテナに入っていたインコたちが逃げ出した。というのが野生化した主な原因だと言われています。
その上、当時はインドなどで野生のワカケホンセイインコを捕まえてそのまま日本に輸入していたそうなので、元々野生での適応力は高かったのだとか。
その辺りはインコ生活様のブログ記事で専門家の見解が詳しく載っています。ぜひご一読くださいませ。
↓外部リンク↓
都市環境が生息に適していた
ワカケホンセイインコにとって、深い森や山よりも開けた都市部にある公園のような環境の方が餌が豊富で冬でも餌を確保しやすいのです。
山間部での降雪や、寒さもワカケホンセイインコが生き延びられない要因でもあります。
裏を返せば、冬でも降雪の少ない都市部は餌も見つかるし、寒すぎないので生き延びて冬を越すことができたという事ですね。
そして、ワカケホンセイインコは樹洞(木の幹や枝などに空いた穴)に巣を作り、繁殖活動を行う鳥なのですが、日本の山だと他の鳥や動物と少ない樹洞を奪い合う事になってしまいます。そのため繁殖活動そのものが難しいのです。
ですが、都市部だと樹洞に見立てた人工物やその隙間などで巣作りをします。山よりは天敵や競合の少ないため、繁殖する事ができました。
結果として東京を中心とした都市部に分布が集中する事になったようです。
ワカケホンセイインコが現在見られる地域
現在ではワカケホンセイインコを見られる地域は東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、群馬県と言われています。
東京を中心に分布が広がっていったのか、首都圏で飼育放棄された個体が徐々に増えたのか。
可能性は色々考えられますが、現在では1都4県で見られる。ということが定説のようです。
昔は大阪などでも見られたそうですが、現在では見られなくなったそうです。
実際に私も、東京都と埼玉県では目撃したことがありますが、東京都にいるワカケホンセイインコの群れの方が規模が大きい。そんな印象を受けました。
外来種の影響と課題
「外来種」とひと口に言っても色々あります。
国内外来種、侵略的外来種、特定外来生物など呼ばれ方もさまざまです。
まずはそれらをわかりやすく極端な例を挙げて解説します。
国内外来種とは
国内外来種とは、東京にはいなかったはずの生物を沖縄から持ち込んで野に放した。というようなケースです。
その地域に元々いないはずの生物を人の手によって放した場合に「国内外来種」という呼ばれ方をします。
昨今、観賞用のメダカや金魚などの放流が問題視されているのは、この国内外来種に該当する事例です。
外来種と言えば、外国から日本に持ち込まれた生物という印象が強いですよね。でも、国内であっても、本来住んでいる地域じゃないところから、人の手によって持ち込まれたら、「外来種」なんです。
こちらの記事も参考になると思います。ReTACTION様の記事がとてもわかりやすく国内外来種について触れられていましたのでご参考にどうぞ。
↓外部リンク↓
侵略的外来種と特定外来生物
侵略的外来種とは、在来生物に対して、捕食する、その環境から追い出す、交雑する(遺伝的に別の種の生き物同士で繁殖すること)など、悪影響が強い外来生物のことを指します。
「ジャンボタニシ」や「ウシガエル」がこれに該当します。
一方、特定外来生物は法律で規制対象にされた生物のことを指します。
「外来生物法」によって特定外来生物に指定された生物や植物は、飼育や栽培、運搬・輸入、保管などが禁止されています。
「アライグマ」や「マングース」、鳥類では「ソウシチョウ」や「ガビチョウ」がこれに該当します。
「ミシシッピアカミミガメ」(いわゆるミドリガメ)も特定外来生物ですが、条件付き特定外来生物として指定されていて、飼育や譲渡だけは今のところ規制されていません。
が、放流するのは絶対にダメです。
私もアカミミガメを飼っていますが、この子が力尽きるまで添い遂げます。
ワカケホンセイインコは侵略的外来種なのか?
今のところ、この問いに対してはNO。ではないかと考えています。
というのも、ワカケホンセイインコによる農業被害やフン害、在来種を脅かしている。などと言ったことは聞いたことがないからです。
少なくとも、特定外来生物には指定されていません。(2025年9月現在)
前述した通り、ワカケホンセイインコの主食は種子や木の実。在来種を捕食することもありません。
オナガやヒヨドリ、ムクドリといった在来種と餌や活動場所が被ったりしそうですが、今のところはそこまで大きな被害というものは耳にしません。なんならねぐらを在来種と共同で使ってるという報告があるほどです。
群れで集まるワカケホンセイインコは、鳴き声が大きい事もあり、人間からしてみたら迷惑かもしれませんが、直接的な被害はほとんど出ていないというのが現状です。
フン害に関しても、ワカケホンセイインコのフンよりもドバトのフンの方が感染症リスクは高いといった検査結果が出ているようです。つまりかなり被害が少ないということ。
ワカケホンセイインコのねぐらのそばに住んでいる方からしたら、うるさくて仕方がないかもしれませんけれど…
ペットや野生動物との共生を考える
ここまで、ワカケホンセイインコをきっかけに外来生物やペット、野生動物に関してあれこれと書いてきました。
では私たちは現代において、ペットや野生動物たちとどう向き合っていけば良いのか。
それを一緒に考えていけたらと思います。
ペットを飼う責任
ペットを飼うことは決して悪い事ではありません。むしろペットを飼うことによってメンタルが安定する、孤独感が改善するといった研究結果もあるほどです。
ですが、ペットを飼う事には責任が伴います。
犬や猫、鳥、爬虫類や虫などなど、色々な生き物をペットとして飼う事はできますが、きちんとそのペットの生態に関する理解をして、適切な環境を用意してあげられるかどうか。
餌や消耗品などの経済的な面や、騒音や臭いでご近所トラブルにならないかなど、考えるべき事は意外にも多いものです。
お世話だって楽ではありません。そういった様々なことを考えた上で、ペットを飼う事に決めたのならば、最期まで可愛がってあげてください。
外来種問題から学ぶべきこと
私たちが暮らしている国や地域はもちろん、世界中それぞれの環境があり、その環境が上手いこと保たれるように生態系が維持されています。
人間が介入して、外来種が在来種を脅かすような事になれば、生態系は崩れて環境が悪くなってしまいます。
川や池などで見られる「ブルーギル」や「ミシシッピアカミミガメ」は、ざっくり言えば在来種を捕食したりする行動から水質の悪化につながる事で特定外来生物に指定されました。
生態系が崩れることによって近所の川や池が濁ってしまったら、嫌な臭いがしてきて私たちの生活にも悪い影響がありますよね。
それだけでなく、汚れた水を綺麗にする生き物がいなくなってしまったら、その汚い水に含まれる有害物質のせいで健康被害がもたらされる可能性も。
他にも、「カワヒバリガイ」や「スクミリンゴガイ」(ジャンボタニシ)といった外来種の貝が、増えすぎて農業用の水路を詰まらせてしまったという話も聞いた事があります。
農業用水が使えなくなったら私たちの食にも影響します。
だから、自然の生態系が崩れることって他人事じゃないんです。
その変化は巡り巡って、ゆっくりですが確実に、私たち人間の生活にも影響してくるのです。
写真:フリー素材ぱくたそ[ https://www.pakutaso.com ]
人と動物が共に生きるためにできること
最近ではヒグマに関するニュースをよく耳にしますが、ヒグマに限った話ではないと思う事があります。
それは、野生動物との「距離感」です。
クマでも鳥でも何でもそう。なんだったら人間同士でもそう。距離感って大切だと思うのです。
基本的に動物は、こちらが攻撃したり、縄張りに入ったりしなければ襲ってきません。
餌付けをしたり、至近距離で写真が撮れないかと近づくのは野生動物を刺激したり人間を恐れなくしたりと悪影響が強いですから、近づきすぎないのが大切ではないか、と考えます。
これを読んでくれている方のほとんどは、鳥類が好きな方だと思います。
野鳥を撮影する際に、距離を詰め過ぎたら…逃げられますよね?
あれはほとんどの野鳥が人に対して逃げるという選択をしているだけであって、繁殖期のカラスなどは近づくと襲ってくる子もいますよね。
人だって、虫や動物に対して自分の身を守る時には手を上げたりしますよね。それと一緒です。
ですから、野生動物や野鳥と共生するには「適切な距離感が大切なのではないか」と考えているのです。
おわりに
今回はワカケホンセイインコの群れを見かけた事をきっかけに、外来種や在来種といった話や、生き物と人との共生についてを少し、書かせていただきました。
話があっちこっち行ってしまったのでざっくり要約しますと、
- ワカケホンセイインコはインドやスリランカ原産の鮮やかな鳥
- ワカケホンセイインコの生態と日本での定着について
- 外来種とは?国内外来種と侵略的外来種、特定外来生物について
- ペットを飼うなら最期まで!
- 外来種問題は他人事ではありません!
- 生き物と人とが上手く共生するために距離感が大事ではないか
といった話になりました。
ワカケホンセイインコ、飼うとめちゃくちゃ可愛いみたいですね。ちょっと憧れます。
それはともかく。
ワカケホンセイインコの野生化の大きな要因は輸送における事故だった。という話ですが、飼っていた鳥を野に放した。という話は今でも聞く事があります。
絶対にやめてあげてください。
生態系に対する心配ももちろんありますが、何より人に飼われていた鳥が野生で上手くやっていける確率は非常に低く、餌が取れない、危機感が無いため天敵に捕食されやすい、病原菌に対する免疫が低いなど多くの理由から、すぐに命を落としてしまう事が多いのだそう。
なので、飼い始めたら最期まで!お願い致します。
私は普段、鳥を見に行くのが好きで、コンデジで写真も撮影しています。
私のXアカウントで撮影した野鳥写真をアップしています。
そちらでも楽しんでいただければ嬉しいです。
今回もここまで読んでいただきありがとうございました!
それでは、また。






