PR

ススキノに思いを馳せて

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

こんにちは、ながです!

私、関東に住んでいまして北海道に行ったことがないのです。

一度は必ず行くと決めておりますが、なぜ行きたくなったかというと理由があります。

この小説のシリーズを読んでしまったから…

ススキノ探偵シリーズ      東直己

初めて聞いた人もいるかと思いますが、こう言い換えたらもしかしたら聞いたことあるかもしれません。

「探偵はバーにいる」

あの大泉洋さん、松田龍平さんらが出演されていて、ポスターなんかでもお二人で写っていらしたあの映画です。映画のタイトルでは「探偵はBARにいる」ですね。

その映画の原作シリーズがこの「ススキノ探偵シリーズ」です。

概要

北海道のすすきのを舞台に繰り広げられるハードボイルドミステリ作品。

作者は東直己さん。この方は実際に北海道で生まれ育った方で、かなり面白い方です。

別の著書ですが「札幌刑務所4泊5日」というドキュメンタリーがありまして、これ実際に東さんが刑務所にわざわざ入ってみた事を本にしたのだとか。

これはまだ読んだことが無いのですが、一度くらいはって興味本位で刑務所に入所するくらいの人、なかなかいませんよね。すごい。

そんな作者が描くススキノの事件。これもまた王道ミステリではあまり見ないであろう人間臭さがよく出ている。

本シリーズの主人公はススキノの便利屋「俺」。時々偽名を名乗ったりはするが、作中に本名が出てくることは無い。体型は太っていて大酒飲みである。毎晩のようにススキノで飲み歩き、顔馴染みの店の困りごとや事件を解決している。が、主な収入源は裏賭博。

頼れる相棒のような存在の「高田」毎回のように「俺」に面倒事に巻き込まれるため基本的に「俺」には辛口。空手の達人で、若い頃は大学の空手サークルの師範をやっていたことも。「俺」が揉め事になるときには何かしら条件を付けて呼び出される男でもある。

この他にも、北海道日報の記者「松尾」。「俺」が若かりし頃に出会って以来腐れ縁のや〇ざ組織である橘連合桐原組組長「桐原満夫」など繁華街ならではの多種多様な人物たちが登場します。

シリーズ構成

三作目の「向こう端にすわった男」は友人に貸しっぱなしなことに気付きました…

 

ススキノ探偵シリーズは現在12作

主人公の「俺」が学生時代、青年期、中年期とシリーズを追う毎に時代が進んでいることも本シリーズの魅力だ。

時代設定は1作目の探偵はバーにいるの頃が1980年代辺りになる。この作品はまだ「俺」が28歳。青年期になる。

この1作目から5作目までは青年期で、「俺」がある事件で知り合った女性と付き合うことになったりもする。

それ以降はいきなり中年期になる。途中10作目の「半端者ーはんぱもんー」は「俺」が学生時代の頃のお話。

いきなり6作目から中年期(40代)になったことは私も読み進めていて驚いたことだが、これには理由がある。

同じく東直己さんの作品で「残光」(榊原健三シリーズ第二作目)という作品にススキノ探偵シリーズの「桐原満夫」、そして主人公である「俺」が名前を変えて登場するのだ。もちろん本名は明かさないが。(笑)

作品の年代設定は1990年代後半から2000年代中頃くらいかと思われる。

こちらの作品もおすすめです。

そんな都合で、ススキノ探偵シリーズも急に中年期に入ったというわけだ。

それでも相変わらず揉め事には首を突っ込み、可能な限りかっこつけ、それでもハードボイルドの主役とは思えないかっこわるい場面もありながらも街を駆け事件を追う。「俺」らしさは健在である。

また、青年期と比べて「高田」や「松尾」たちを取り巻く環境も少しばかり変わっている。

現実でも数年経てば環境が変わっている人もいますよね。そういう描写もまた現実に近く、読んでいてかなり面白い。

映画との比較

フリー素材の「ぱくたそ」さんによるパロディ。
完成度高いなおい(笑)

 

私は映画一作目の「探偵はBARにいる」しか観ていないのですが、多少ですが人物観は変わっています。とはいえ主演は北海道出身の大泉洋さんであり、原作の主人公は太っている設定だがその違いも気にならなくなるほどキャラに合っています。

そして時代設定も少々変更があり、原作では1980年代の設定ですが、映画では2000年代の設定に。

それでも違和感が無いように秀逸に作られていました。

北海道弁ももちろんナチュラルそのもの。「俺」が結構な頻度でカッコつかない事があるのですが、そのあたりの演技も似合っています。

今作のストーリーは原作の2作目「バーにかかってきた電話」を基に作られており、よくある「原作と全然違う」感はありませんでした。

私は原作シリーズ全て読んでいますので、「あのシーンだ!」って映画を観ながらシーンを思い出して喜んでいました。

より楽しむために

本シリーズをより楽しむには当時(80年代)の文化や流行りの音楽、そして何よりお酒や飲み屋さんの知識があった方が良いでしょう。

私はあまりお酒を飲まないのでちゃんとわからない部分というのもあったのですが、「俺」と同じくお酒が好きでよく外に飲みに行く方は、読んだそばから飲みに行きたくなるのではないでしょうか。

そして音楽。バーやスナックなどが作品内でたくさん出てくるのですが、そのお店の中で流れている音楽の名前なども出てきます。もちろん当時の曲ばかり。

それに出てくる人物が歌っていたり、冗談として歌詞を引用したりするので、知っているとよりそのシーンの雰囲気が容易に想像でき、より楽しめるかなと思います。

最初にオススメするのは?

シリーズものではあるものの、一冊ごとにお話は変わってきます。(当たり前か)

なので序盤の方であればどこから読んでも楽しめると思いますが、やはり映画化の原作である「バーにかかってきた電話」が良いのではないでしょうか。

実は私もこの作品から読み始めてどっぷりハマり込み、最終的にはシリーズをコンプしてしまいました。

タイトルにあるとおり、「俺」が行きつけのバーにとある女性から電話がかかってくるところからだんだんと事件に巻き込まれていくというお話です。

最初は誰々に電話をかけてこう言ってくれといったよくわからない依頼から始まり、「俺」も次第に気になり始めて調査に乗り出し…という流れで、最後までその女性の真意などを伺わせない展開に、早く先が読みたいとなってしまうはず!

この作品は前述したようにシリーズ2作目ですが、これを読んでから一作目に戻ってもかなり面白いはずです。今思い出しただけでもわくわくします。

シリーズものの醍醐味でもある、前の作品からのつながりがしっかりと感じられるはずです。

このシリーズは基本的に「俺」視点で物語が進んでいきますので、「俺」が過去の事件やできごとを回想するときくらいしかつながりを感じられる場面がありませんので、そういう点で言ってもどの作品からでも楽しめると言えるでしょう。

個人的に一番は?

シリーズを網羅してしまったものの、何度も読み返したなぁという作品があります。

それはシリーズ4作目「消えた少年」です。

あらすじとしては、

行きつけのバーで飲んでいた「俺」と「高田」の元へ中学校教師の女性「安西春子」がやってきた。その「安西」が話すには、最近学校に顔を出していない生徒の少年「中島」が電話を掛けてきたという。

場所はススキノのビル。お酒に酔っているようで、「来れるものなら来てみろ」とのこと。

電話越しに男たちの騒がしい声もしていたとのことで、なんだか怖くて入れずにいたところ、「俺」と以前出会った事(前作で少しだけ関わっていた)を思い出し、訪ねてきた。ということだった。

その後三人で電話を掛けてきた「中島」のいる店へと行き、彼を連れ戻す。

この事件の後、「中島」はしばらく大人しくしていたのだが、「俺」がとある依頼を受け、映画館に立ち寄ることがあり、依頼を完遂してそのまま映画を観ようとしていたところで「中島」と「俺」が再会し、映画好き同士で意気投合。

その後、「俺」がいつものようにトランプ博打に精を出しているところにいつものバーのマスターから電話がかかってくる。

10分後くらいに「安西」から電話がくる、と。

その電話を取るなり、「安西」が泣いて取り乱している。話を聞けば生徒一人(中島の親友)が殺害され、「中島」が行方不明だと。

「中島」は無事なのか?どこにいるのか?この事件の全貌は?

それらを解き明かすべく「俺」がススキノを疾走する。

 

この「中島」が無事かどうかという焦燥感が後半までずーっと続き、先が気になってどんどん読み進めちゃうんですよね。

後半かなりひやひやする展開があり、読みながらしんどかった覚えもあるほど感情移入しちゃってました。

今作はけっこう「俺」がカッコいいんですよね。(笑)

旅行先に持って行ったこともあるほど大好きな作品です。

おわりに

今回は拙いながらも、東直己さんの「ススキノ探偵シリーズ」について書いてみました!

ハードボイルドものにはなるのですが、かなり読みやすいと感じています。

今回書くにあたって少し読み返したりもしたのですが、気付いたら読み耽っていたほどやっぱり面白いんですよね。

「俺」の価値観や感情、登場人物と「俺」の喋り、掛け合いなど読み始めたらついハマってしまう不思議な魅力があるのです。

いやぁ、この人生で一度は必ずススキノに行こう!ちょっと怖いけど(笑)

それでは、また!